信三郎帆布でオリジナリティを考える
前々回に取り上げた信三郎帆布で気づいたことを書いてみたいと思います
信三郎帆布の製造作業では下職と呼ばれる職人とミシン担当の職人の2人のチームで仕事が進められています。
この下職ですが、ミシンがけの前の布の整形や、末端をきれいに整えて準備する仕事です。
思うに「品質」ということではこの下職作業が大変重要な仕事になっている。
ありふれたデザインのバッグでありながら、帆布素材ということで丈夫さをアピールしている。
さらに丁寧な熟練の業により他にない品質をつくりだしていて、それが「飽きずに長く使える」という信頼につながっている。
これを高級な料理にたとえるとわかりやすい。普通の家庭料理でも、下ごしらえの段階からこだわりを入れていくと、ちゃんとお金の取れる高級料理になる。
たとえば、お茶漬けというのはどこの家でも作りますが、鯛茶漬けとなるとそうはいかない。
ましてどこよりも美味しい鯛茶漬けを作りたいなら、ご飯や鯛といった素材に拘るのはあたりまえ、注ぐお茶、これもお茶ではなく出汁だったりするが・・・にも工夫が必要になってくる。
ここが理解できたなら、自身の作っている作品をグレードアップすることもそう難しいことではなさそう。
例えば編み物であれば、毛糸にこだわる、デザインにこだわる、丈夫さにこだわる。
それを追求することで時間は必要だろうが、他の人が真似できない何かを見つけ出すことができる。
無理だと諦めないでまずやってみる。そしてやり続けてみる。
オリジナリティとはそんなところから生まれるのだと思う。