チャンスの前髪:大阪のたこ焼きに無いもの
前回 大阪出身じゃない人だから、たこ焼きを進化させて「冷凍たこ焼き」を開発販売したと言う話のつづき。
たこ焼きを屋台で売る商売を広げることができたのに、結局それをやめて「冷凍たこ焼き」へ舵を切ったのはなぜなのか、
ここからは私の推測なので裏付けはナシ、だからそのつもりで読んでほしい。
冷凍たこ焼き事業をやる理由その1
すでに知られていることだが、外食産業は参入者が多い、その殆どが失敗して退場していくと言われている。
10件の新店舗は10年経ったら1件しか残らない世界。屋台たこ焼きの成功もそのような結末になる可能性が非常に高い。
たしかに現状をみると「たこ焼き&お好み焼きの小規模店舗チェーン」が小さな街に2、3軒はあるし、いつの間にか出店していつの間にか消えていっている。
そんな現状を彼は予想できたのかもしれない。
冷凍たこ焼き事業をやる理由その2
たこ焼き販売チェーンを展開できる人材が獲得できなかった。
チェーンとかフランチャイズという事業は一般にはその事業内容に精通していることが大切のように思われているが、実際の現場で店舗の出店や運営、フランチャイジーの獲得の活動の殆どは人材がいないとできない。
つまり名前に「外食」とついてはいるが、実際には調理以外の人材がすべてを決めるビジネス。
業種は違うが、ファミリーマートを経営するのが伊藤忠商事。対してセブンイレブンの親会社は小売大手のイトーヨーカ堂。
なぜ小売が本業でないのに、ファミリーマートを買収したか、それは自社の経営資源が有利に使えるからだ、特に商社には優秀な人材が豊富、店舗経営や商品開発など一般の小売事業者よりもたくさんのノウハウがある、なぜなら彼らは昔から小売販売業者を黒子として支えていたから、そのノウハウをコンビニという分野に使ってみたということだろう。
あとはチェーン店舗運営のプロを引き抜くなり、要請すれば、世界を股にかける商材発掘のプロは山ほどいるのだから他のコンビニとの差別化も簡単だ。
冷凍たこ焼き事業をやる理由その3
冷凍食品事業、これはだれでも簡単には手を出せる事業ではない、故に競合者は少ないと判断できる。
しかしすでに大手の冷凍食品製造会社があり、彼らがこの分野に出てきたらどうする、
冷凍たこ焼きが珍しい今なら、大手冷凍食品メーカーを出し抜ける、そして先行者として十分なシェアが取れるのではと判断したのではないだろうか。
私はここが最大のギャンブルだったのではないだろうかと思っている。
ひょっとしたら冷凍技術を持つ会社とうまくつながることができたのがその最大の理由なのかもしれない。
あくまでも想像ですが・・・いずれにしろ事業、特に先行者がいない事業はギャンブルであることは間違いない。
冷凍たこ焼きと同じくらいのインパクトあり
冷凍たこ焼き同様に、最初に「築地銀だこ」を見たときも大きなショックを受けた。
この店は、たこ焼きというソウルフードをグルメ・フードに格上げさせた店である。
6個で580円という価格は大阪では到底受けられないぼったく価格、にもかかわらず、今では大阪にも多くの店舗を出している。
驚くのは大阪人がイメージする、うまいたこ焼き=「外カラっと中トロ、タコが大きい」をさらに進化させたところだと思う。。
トッピングバリエーションや、居酒屋スタイルの店など、チャレンジも面白いと思う。
これはいま話題の「串カツ田中」にも共通するように感じる。
いまや大阪のソウルフード、串カツが、粉もんと肩を並べて全国に知られている。
そこに関東から串カツ居酒屋を全国展開するのが「串カツ田中」、
居酒屋は昼は定食しか出せるメニューがないという思い込みを捨てて、子供を中心にしたファミリー層にターゲットを絞り、挑戦的な店づくりをして業績を伸ばしている。
当たり前を疑え
この2つの事例は、まさに 冷凍たこ焼きに通ずるものがあると思うのです。
「冷凍たこ焼は無い」 とか、「ファミリー向けの串カツ居酒屋」は無いとか・・・こんな当たり前を疑ってみる、ここにビジネスチャンスのタネがある。