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一澤信三郎帆布のビジネスモデル

先週、テレビ番組 カンブリア宮殿で帆布を使った手作りバッグのメーカー 京都の一澤信三郎帆布が紹介されてました。

1905年(明治38年)初代が一澤帆布加工所を創業したことから始まるという100年以上続く老舗です。

創業時は業者向けのカバン製造であったが、使い勝手や品質の良さからバブル期の80年代から雑誌などで取り上げられて一般向けのカバン製造販売としてブランドになってきたことが紹介されていました。

現在もカバンはすべて手作りで70人の職人がそれを作り、そして自社の店舗だけで販売されています。ネット販売等の通販もされていない。

基本的な商品ラインだけでなく、オーダーメイドがあったり、修理もやっている。このあたりはやはり自社のブランドを自社工場で自社の職人が企画製造するという仕組のもつ強みになっています。

公式サイトには現場の職人さんたちの話が載せられていて興味深く読ませてもらいました。

創業当時に作っていた牛乳配達用のカバンが今のブランド力につながっていて、この会社の強みが見て取れます。

牛乳ビンを入れても割れずに運べる丈夫なカバンの依頼から作られたカバンは、その後も業者さんのリクエストに答えるべくどんどん進化させていく。単に作って売るだけの業態ではなく、ずっと使ってもらえるようにアイデアを出して改良を繰り返し、ユーザーの希望を具現化していくこと、これが今もDNAとして受け継がれているのです。

これは手作りの最大最強の強みなんです、大量生産ではこのきめ細やかなアイデアを実現していくことは不可能です。

しかしオーダーメードビジネスではたくさんの顧客に対応することはできない、規模がない事業はどうしても人材が育てられない、人材がいないと危機に陥ったときに克服するだけの自力が保てない。
ですので「多くの顧客を満足させルビジネス」は強いビジネスを作るということではとても重要なのです。

このようにオーダーメイド的な精神を維持しながら規模に見合った売上も継続する、これはとても難しいとおもうのですが、強いブランドになることで解決されているように思います、これこそが一澤信三郎帆布のビジネスモデルなんだと思います。

先日、アメリカの有名ギターメーカのギブソン社の倒産のニュースが報じられましたが、このギターも基本的にはすべて手作りですので、こういうビジネスを長く続けるのがいかに難しいかをより感じさせてくれました。

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toshisaka:
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