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フロンティアをめざす、それは小さな覚悟から

以前、立体造形の切り紙作家とお仕事をしていたことがあります。
彼は全く下絵なしに紙を切りそれを折り込むことで、動物や昆虫、恐竜や龍の精巧な立体造形を作り出していました。

知り合って1年ぐらいして彼が全国ネットのテレビに取り上げられることになりました。

実は私はこの作家を知る前にもテレビで取り上げられた陶芸家を知っています。
その作家は関西ローカルのテレビで取り上げられて、一つ5万円もする土鍋が、一ヶ月300個売れるほどの反響になりました。しかし放送から2、3ヶ月もするとぱったりと電話もなくなり、1年も経つとあの騒ぎがウソのように工房は静かになったそうです。

私はこの話をその切り紙作家にも伝えました。

そして全国放送の日、こちらが急遽用意したサイトはアクセスが集中してダウン、幸い15分ほどで復旧しましたが、電話が2,3日は鳴りっぱなしで日常の生活もままならない状況になってしまったのです。
その後陶芸家と同様に1ヶ月もすると注文も減り、潮が引くように静かになってしまいました。

ただ、他局のTV出演や書籍化のお話は来ていたので、私は休みなく次の手を打つことを提案しましたが、残念ながらその後彼と仕事をすることはなくなりました。

この一連の出来事で私が非常に残念だと思ったことがあります、私の助言がまったく役に立たなかったこともそうですが、それ以上に大きなことです。

当時東京のTV局から、動物や昆虫以外で「人の似顔を作ってもらいたい」というリクエストが有ったのです。

彼は時々試しに人の顔を切ることはありましたが作品としては世に出していませんでした。
結局その時も出演はありませんでした。残念だと思ったのはその出演がなくなったことではなく、彼がそれ以後も似顔を切ろうとしなかったことです。

とても大きな新しいニーズ、フロンティアがそこにあったのに、それにチャレンジしなかったことです。

たしかにひと月ふた月で似顔が切れるということはないでしょう、でもたとえ1年、2年かかっても毎日練習を重ねていく覚悟あれば出来たかもしれないのです。

普通の人がチャレンジするのとはわけが違うのです、一枚の紙からハサミだけで龍の立体造形を生み出せる人などそうは居ないでしょう、そんな彼だから1年、2年掛けてやる価値があると私は思ったのです。

たとえ5年かかっても、切り紙で似顔を作れる人が世界にいなければ彼は再び脚光を浴びますし、そして今度は世界で勝負できるでしょう。

そうですTV出演よりも大切な、新たな市場、フロンティアを捨ててしまったと私には感じられたのです。

あなたにも諦めたフロンティがあるのではありませんか、毎日少しでも良いからそれについて考え、決してチャンスをつかむ事を諦めない、そういう小さな覚悟を持てた人だけが誰も立ったことのない新しいステージ、まさにフロンティアに立てるのではないでしょうか。

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toshisaka:
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